河原あずの「イベログ」

イベント屋・河原あず(ニフティ・東京カルチャーカルチャー)が、イベント、ミートアップ、コミュニティ運営で日々考えることを記録してます。

イベントを成功させるのに必要なたった1つのこと~「想い」を見つめ「ミッション」を定義しよう!!

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「お金の守り方を伝えたい!」というクライアントの想いから「お金ナイト」は生まれました。
(写真はむねさだブログより引用)


この1ヶ月半あまり、たくさんの方に会い、いろいろなイベントのアイデアを交換し、実際にイベントを開催してきました。その中で、クライアントさんとのさまざまなイベントの企画が立ち上がったのですが、その過程であらためて重要だなと感じたことがあります。

それは「何のためにイベントをやるのか?」というオーガナイザー側の想いです。

あるクライアントの方は「自分たちの商品が売れる売れないだけではなく、業界全体の偏見をなくして、自分たちの商材によって救われるひとたちを増やしたい」とおっしゃっていました。そのクライアントのイベントは大成功をおさめ、今まではその商材からは距離が遠かった人たちも「面白かった!」という感想をたくさん残してくれました。

あるクライアントの方はただ単に「自社の商品を売りたい」と答えました。「自分たちの商品を売り込めればコンテンツはなんでもいい」とも言ってました。しかし、結局、そのクライアントさんとの企画はなかなか立ち上がりません。


「想いのあるイベントは成功する」の例~「お金ナイト」supported by 楽天証券

前者にあって、後者に少ないのは何かというと「想い」です。それぞれの中での「ミッション」と言い換えてもいいかもしれません。

前者のクライアントさんの例が「お金ナイト」という企画を一緒に立ち上げた楽天証券さんです。楽天証券の担当の方はまず打合せで開口一番「商品の宣伝をして、パンフレットを渡すようなセミナーはやりたくない。それよりも、金融商品の知識を楽しく身につけられる場を提供したい」と私におっしゃいました。

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では、トークコンテンツは楽しく盛り上げるとして「幕間に御社商品のコマーシャルの時間を作りますか?」と聞いても「いや、不要です。わざとらしくなるし、結果、理解が深まっていただければいいのです」というコメントが返ってきました。果ては、楽天証券さんの競合の方をパネリストにブッキングされました。「中立色とエンタメ色を強めるためにも、競合の方もいれたほうがいい」と提案はしたものの、本当にそのようなアクションをとられるとは思っていなかったのです。

しかし、アンケートをとったところ、コンテンツとしての満足度はかなり高く、結果的に金融商品への興味が増した、という結果が出てきました。

実は、ぼくも東京カルチャーカルチャーで「インデックス投資ナイト」というイベントに出会って以来、個人投資をはじめて、色々と助けられたひとりでもありました。それまでは貯金くらいしか蓄財の方法を知らなかったのが、資産形成の幅が広がり、更に、金融や経済のある程度の知識が身につくことで、生活にもかなり役立ったのです。

楽天証券さんの想いに共鳴したので、どうすればかつての自分のような「未経験者やビギナーの方」が楽しみながら、個人投資への興味を持ってくれるかを徹底的に考えました。楽天証券さんともディスカッションを重ね中身をつくり、プロモーションも力をいれました。結果100人以上のお客さんに来場頂き、来場者の多くを占めた投資ビギナー、未経験者の9割5分以上が「投資に興味を持った」「楽しかった」と回答する場が成立したのです。


パートナーと「エゴを超えたミッション」を組み立てられるかがイベントの成否を決める

一方で「イベントは魔法の杖だ」と思っているクライアントの方も中にはいらっしゃいます。イベントをやって、自分の商品に触れさえすれば、絶対にうまくいくのだと信じている方もいらっしゃいます。また、そのようなクライアントの言うことを御用聞きのように聞いて、作業として仕事を請負い、イベントを繰り返すオーガナイザーや代理店も中にはいるような気がします。

しかしそのような状態でイベントをつくっても、結局、何も伝わらない場になってしまうのです。来場される方は、創り手や提供者が想像する以上に、彼ら彼女らの想いに敏感に反応します。その想いに共鳴するからこそ「この人たちと一緒にいい場を創りたい!」と感じ、イベントにも何度も足を運んでくれ、結果として、その提供企業のファンになっていくのです。

「お金ナイト」だけでなく、オムロンヘルスケアさんとのイベント「肉とビールでダイエットナイト」、伊藤園さんとの「茶ッカソン」、三和酒類さんとの「いいちこらぼ」、J-POP SUMMIT…いずれも、担当者の方の強い想いがベースとなって生まれた、ファンコミュニティづくりのためのイベントです。

ぼくは、仕事を請ける際に「何のためにそのイベントをやりたいのか?」という問いをクライアントさんにぶつけて、その想いを汲み取りながら企画を練り上げていきます。そうしないと、誰も満足できない、かたちだけのイベントが出来上がってしまうからです。

「想いを引き出す」のは、イベントをやりたいというお客さんを助ける仕事をしている人間には必須のスキルです。更に、その想いに「共鳴」し、志を共にし、共通のミッションに向けて動けるというメンタリティも必要になります。私がよく仕事を一緒にするイベントを職業にする人の多くは、このメンタリティやパーソナリティを有しています。他人への共感のスキルや、コミュニケーションスキルは欠かせません。自分のエゴで仕事をするのではなく、相手の想いと自分の想いを融合させ、共に「エゴを超えたミッション」を組み立てるのが大切なのです。

また、中には、いくら話を深堀りしても「想い」が薄かったり、「共感」を引き出せないクライアントさんもいらっしゃいます。そのようなケースにおいては商談もうまくいかないことが多いです。このようなスタンスでぼくも仕事をしている以上、仕方のないことだと思いますし、相性もありますし、クライアントさんにとっても、他のパートナーさんを選んだほうが、幸せだろうな、という気もします。


イベントをやる前に「想い」を見つめなおし「自分のミッション」を定義しよう!

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自分のミッションに即してイベントを創ると、イベントの熱と深みが増します。
写真は個人的に想い入れも深いシリコンバレーコミュニティ「シリコンバリズム」のイベントより。


時々「イベントをどうやるのかを知りたい」「イベントのスキルを身につけたいから手伝いたい」「こういうイベントをやりたいのだけどどうすれば実現できるか」という相談を受けることがあります。

そんなときにぼくはまず「あなたは、なんのためにイベントをやるのですか?」という質問をします。そこに確固とした動機がない人間が、イベントを作ってもいいイベントは絶対にできないからです。

そして、そういうことを聞いてくる方の多くが、確固とした動機を有さずに質問をしてきます。「大事なのは、なぜイベントをやるのかという動機ですよ」という返しをすると、ぽかーんとされることもあります。

動機があれば、誰を呼んで、どういう状態にして喜ばせたいのかというイメージがまず出来上がります。何を来た方に伝えたいのか、どういう変化を起こしたいのかが浮かんできます。どう集客するか、どう組み立てるかの技術を使うのは、そのイメージができてからの話です。

イベントは、あくまで「手段」でしかありません。しかし、多くの「イベントを学びたい」という人が、イベントを「目的」にしてしまっています。いちばん厳しいのが「イベントを自己実現の手段」にしている人ですが、こういう人には、イベントをやらないことをお勧めします。イベントはとても大変で、自己実現の手段にするには、あまりに非効率だからです。

イベントは、生身の人間を相手にし、そのひとたちと真剣勝負で向き合う場です。時にかかわるひとの人生をポジティブに変えますが、接し方ひとつによっては、ネガティブに変えてしまうことだってありうるのです。

だからこそ「目的」への意識が大事になります。言い方をかえると、自分のミッションは何かを定義する、ということです。そのミッションを実現したり、広めたりするための手段がイベントであり、それ以上でもそれ以下でもないのです。

ちなみにぼくのミッションは「イベントやコミュニティを通じて、人と人をつなげて、それぞれの参加者の人生をちょっとずつ後押しする」「日本とシリコンバレーのコミュニティをつないで、新しい発想ができる人たちを助ける」「コミュニティづくりを通じて、想いのある表現者(起業家や社内起業家を含む)がちょっとだけでも生きやすくなる世界を創る」ことと(いったん)定義しています。そのための手段として、色々な企業や自治体や教育機関と組んで、イベントを繰り返しているのです。決して、自己実現のためではありません。


「お金ナイト」は「資産形成の方法を人々に広めることで、生活を助ける」こと、「茶ッカソン」は「お茶のマインドを通じて世界をちょっと面白くする」こと、「いいちこらぼ」は「カクテルを通じて大人が楽しめる楽しい知的空間を参加者みんなで作り上げる」こと、「シリコンバリズム」は「シリコンバレー経験者のコミュニティとシリコンバレーに興味のある人をつなぎ、イノベーティブな発想をする人たちを増やしていく」ことを、それぞれのミッションだと解釈して、イベントやコミュニティづくりをしています。

このような柱となる「目的」があるからこそ、たくさんの味方が生まれ、参加者同士の共鳴を呼び、イベントやコミュニティが、より活性化していくのです。

企業活動、個人の活動、さまざまな組織の活動において「手段が目的化」して、生産性のない活動が増えていたり、企業活動などでは、不祥事につながったりするケースさえ見受けられます。イベントにおいては「予算消化のためのイベント」「接待のためのイベント」「KPIをこなすためのイベント」「プロモーションの方法を上から出せといわれ、とりあえず計画書にイベントと書いたからやらざるをえないイベント」「クライアントからお金がたくさん取りたいがためのイベント」「業界内のポジションをとっていくためのイベント」などが「手段の目的化」の一例でしょうか。実は、こういうイベントが世の中には多くあることも事実です。

そういう状態になりかけてる、もしくは、すでになっていると自覚がでてきたら、すっぱりと、イベントをやめることをお勧めします。そして、ぜひ、自分や、自分たちのプロジェクトの「想い」が何だったのかを、見直してみて下さい。

断言します。想いさえあれば、イベントは成功します。最初は失敗するかもしれませんが、都度修正をし、あきらめずに想いを貫けば、必ずどこかで花開きます。

その「想い」を見直して再構築するところから、ぼくがお手伝いすることも可能です。ぼくのミッションは「想いのある表現者(起業家や社内起業家を含む)がちょっとだけでも生きやすくなる世界を創る」ことですから。ぜひ、お問い合わせ頂き、想いのたけをぶつけて下さい。

みなさまの「想い」を、イベントやコミュニティづくりを通じて、支えられる日が近いうちにくるのを、楽しみにしています。